※本記事はもりぞお世界で生きる研究所のアップデート記事になります
海外就職研究家の森山たつをと申します。海外就職について話をしていると、
「それは必ず成功するのか? ひどい目にあっている人もいるんじゃないか?」
という反論をよくいただきます。
言うまでもなく、海外アジアで就職することは、数ある選択肢のひとつでしかありません。東大に入学したから、ハーバードを卒業したから、司法試験に合格したから、アップル社に入社したから、必ずしも成功するとは限らないのと一緒です。
入社だけで安定か不安定は決まらない
人生は元々、結構危ない橋の連続です(ペルー マチュピチュの近くにて)
日本の大企業では数十年間、終身雇用制度が機能していたため、それに慣れた人たちには「信頼できる組織に所属して生涯安泰」という志向が刻み込まれているようです。もしかすると、農耕民族だった先祖の記憶なのかもしれません。
それゆえ、すぐに「アジア就職は安定しているのか?」「外資系企業は不安定ではないのか?」といった「安定」の話をしたがる人が出てきます。
しかし、どちらにしても入社はきっかけに過ぎず、その後の安定を保証してくれる類いのものではないのです。
現実問題、日本の大手家電メーカーで大量の解雇が行われています。「所属期間が長いだけで高い役職についている」人は、解雇されたとたんに人生が大きく変わります。
一方で、社内で重要な役割を担い利益に貢献しているため、リストラ中でも解雇とは無縁の人もいます。不採算部門にいるものの高い技術力が業界で評価されているため、解雇されても転職先がいくらでもある人もいます。
「この企業に所属していれば安心」と思われていた日本の大企業でも、中をのぞいてみると実は人それぞれ。そして、現在の状況を決めたのは「入社してから今まで何をしてきたか」によるのです。
人それぞれといえば、外資系企業も同じです。求められるレベルに自分のスキルが合わず、すぐに辞めざるを得なくなる人もいれば、有用なスキルを身につけ独立開業して大成功する人もいます。
世間ではエリートと思われている外資系コンサルタントでも、「実は40代以降のキャリアが確立されておらず、苦労している人も多いんだよね」なんて話もよく聞きます。
日本の大企業とアジアの日系企業。リスクはどちらにもある?
海外で働くことも、これと全く一緒です。インドネシアに転職すれば、いまなら初任給で18万円くらいもらえて、運転手付きの車が支給され、綺麗なマンションに住むことができ、物価も安いので金銭的に余裕がある生活ができる人がいるのは事実です。
ただそれは「インドネシアの優良企業に入社すれば、誰もが安定した生活を保証される」という意味ではありません。今後経済が大失墜して日系企業が全部撤退するかもしれない。自身の能力不足でクビになり、再就職先がみつからないかもしれません。大気汚染で身体を壊すかもしれない。
しかしそれは、日本の大企業で働いていても起こりうることです。過重労働で身体を壊すかもしれず、企業業績が大悪化して大リストラが行われるかもしれない。
確かに日本の大企業に運よく入れば、能力不足でもしばらく閑職で雇ってもらえる確率が高いでしょう。でも、大した経験も積まないまま中年になって会社から放り出されたとき、大企業に所属していたことが裏目に出たと気づくこともあるのではないでしょうか。
しっかりとしたスキルを積み上げ、会社に貢献し、お客さまや取引先に価値を提供できる人であれば、学歴が高くなくたって、転職したり起業したりという選択肢が自ずと出てきます。その中から、自分の進む道を選んで時代の変化を乗り越えていく。人生なんてその繰り返しです。
まとめ
10年以上前に外資系企業に入った私にとって、この考えは当然のことなのですが、実は多くの人にとっては少数派の考え方だったと最近気づかされました。海外就職も日本の大企業も外資系企業も、入社はただのスタート地点。大切なのはその後の道のりをどうやって歩んでいくかということ。頑張って生き抜いていきましょう!
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