−横松拓史氏プロフィール
・生年月日 1966/5/29
・出身地 栃木県 真岡市
・大学 東海大学
・すきな言葉 快打洗心
−J ACE PROPERTY会社概要
住居、商業施設、オフィス、工業団地等の賃貸、販売仲介を行っております。
在タイ25年の強みを活かし、地元のオーナーさんとのパイプを太くし、お客様により良い情報をお伝え出来るように日々努めています。バイクで街中を、情報収集のため走っている様に、お客様のためにフットワークの軽く明るい、真面目な会社で有り続けたいと思っています。
会社HP:http://jace-th.com/
−早速ですが横松さんの学生時代のお話を聞かせてください!
私の学生時代はまさにカッコ悪い「一匹狼」でしたね。小学校の頃は生徒会長や野球部のキャプテンをやっていたのですが、どうも周りとなじめずにいました。
その時から日本の「出る杭は打たれる」風習に危機感を抱き、「早く日本から出ないとだめだ!」と感じていましたね。中学に入ってからは、自分なりの正義感を強く持つようになり、周りをよく叱りつけて徐々に一人になっていきましたね。今思えば、正義などではなく、独りよがりな価値観の押し付けだったと反省しています。高校で野球部が強い地元の学校に入ってからは「海外に出る」ことよりも「目の前の練習に耐え抜き、甲子園に出る!」ことに必死になってしまいましたが(笑)。
野球部を引退してから付属の大学の国際学科に進学しました。
−国際学科に進学したのもやはり、海外に出たいという願望があったからですか?
そうですね。大学での授業は意外に楽しく、有意義でした。色々な国際間の学問を広く浅く学ばせてもらいました。特に印象に残っている授業は、ケーススタディを扱う授業です。海外ビジネスにおいて実際に起こった問題について思考したのですが、こういった授業のおかげで海外で働きたいという欲求がより具体的になっていきました。やはり海外で働くためには英語力が必須になると思い、アメリカへの短期留学やオーストラリアでのワーキングホリデーも経験しました。
結果的に英語力は伸びたのですが、反省としては語学を学びたいのであれば、ワーキングホリデーではなく、現地校に留学するのが1番ということですね。ワーキングホリデーでは、大抵免税店などで働くのですが、そこで日本人同士群れてしまい、英語を使う機会が激減してしまうのです。(私はツアーガイドをしていましたが)行ってマイナスになったことはないのですが、大学休学中にお金を払ってくれている両親のことを考えると、手段を妥協しなければよかったなと思っています。
−大学卒業後はどのような進路に進まれたのですか?
もともと「広い世界を知りたい!」と考えていたので、日本の企業に就職する気は全くありませんでしたね。僕の地元は山梨県なのですが、山梨はジュエリーの製造が大変盛んなところで、ジュエリーを扱う会社がたくさんありました。
その中で、1番大きな会社がタイに工場を作ると聞き、「英語ができる自分が入ればきっとタイに送ってくれるに違いない。」と考え、入社しました。
今思えば広い世界を知りたいなら東京の大企業に勤めて優秀な人と働くことも視野に入れるべきだったのですが、若気の至りでしたね(笑)。
僕はジュエリーには全く興味がなく入社をしましたが、修行のために工場で実際に鋳造をマスターしなければなりませんでした。正直自分には向いてないな、さてどうしょうか、と。入社前にほとんど会社のことを調べずにいた、間抜けな現実でした。(笑)。そうしているうちに金、プラチナや宝石を買い付けをする部署に配属され、入社してから2年目にタイのバンコクへ駐在員として派遣してもらいました。外国人と同じ土俵で仕事をする毎日が始まりました。当時の取引相手はインド人やタイ華僑だったのですが、彼らと一緒にビジネスした経験というのは、私に非常に大きな影響を与えましたね。
彼らはビジネスにおけるバイタリティーが非常に高い。自分の欲に正直だし、交渉力も日本人とは比べ物になりません。
そのため、僕にも自然と彼らに対抗するための宝石をみる眼力や気の強さ、意思決定能力が身についていきました。「わからないからボスに聞いてくる」などと言ったらなめられて即終了ですので、自分ですべてやらなければ、と必死になり、かなり鍛えられました。インド人や華僑のバイタリティーを物語る印象的なエピソードが一つあります。僕は小さなオフィスを一つ構えて、そこに来る商人たちから石を買い付けていたのですが、ある日インド人の商人の態度に大変頭にきて「二度とここの敷居をまたぐな!」と怒鳴りつけたんですよ。
ところが次の日には「good morning〜」なんて言ってのこのこ+にこにこオフィスに入って来るのです。日本ではまず考えられないような行動ですよね。彼らには「周りに何と思われようと必ず成功する」という強い願望がある。海外で働くということは、そのような人たちと戦うということなので、決して楽なことではありません。
でも、そういった環境で働くことによって非常にたくましくなり、多様な価値観を知ることができました。
その後、バブルがはじけ、本社が債務超過となり私も被解雇者となってしまいました。
かねてより独立心はあったのですが、私はもともとジュエリーに興味があるわけではなかったので何をやろうか迷っていました。その渦中で、工場内の従業員たちに「横松さん、ジュエリー工場を立ててください、お願いします」と懇願され、頼まれると断れない性格から(笑)工場を開くことになりました。
工場を建てるにあたって従業員の家族たちに挨拶に行ったのですが、田舎ですから大体が10人規模の大所帯なんですよ。
私は従業員だけではなくて、彼らの家族の生活も背負ってるんだな、と責任感を改めて感じました。一朝一夕で工場は畳めないな、と。従業員と共に、かなり働きましたね。
ところが、事業に従事して7年目くらいの時に、金とプラチナの値段が高騰したんです。ジュエリーの工場の流れは材料(金、プラチナ、宝石)を先ずキャッシュで仕入れて、鋳造、石留、研磨、輸出、現金回収となります。このように支払タームが長いのです。そのために少なくない資本力が必要なのですが、原料の高騰を受け、もうこの業界は厳しいかな、と感じました。
次にどのような事業をしようかと考えてるときに意識したのは次の3点です。
ストックビジネスでないこと…ジュエリーの工場というのは金やプラチナを現金で買い付けて様々な作業工程を経てお金を回収していくビジネスなのですが、このようなビジネスにおいては、それ相応な資金力が必要なんです。
工場はもうしない、と思いました。
衣食住に関わること…宝石のような嗜好品を扱う業界は不況の時に1番早く落ち、好況になった時に1番遅く上がるのです。そういった事業はやはりリスクが大きいと感じたので人々の生活に密着した衣食住に関わる業界で安定した事業をしよう考えました。
現金回収がしやすいこと…長年ジュエリー業界に携わって痛感したことは、この業界では現金回収がけっこう難しいということです。 例えば、会社が倒産しても次の月には会社の名前だけを変えて事業を続けている場合もあり、現金回収に不安が付きまといました。なので不動産など固定資本を扱うような、現金回収がしやすい業界を選ぶ必要を感じました。以上の点を意識して考えた結果、不動産ビジネスを始めました。
−その他に自分で仕事の環境を作っていく上で意識したことはありますか?
業種のほかにも、顧客や従業員もターゲティングをしてから獲得していますね。今までの経験を通して僕自身、大勢の社員を束ねるようなリーダーは向いてないな、と感じました。
無理に向いてないことにチャレンジするのではなく、自分に向いていることで、自分が力を発揮できるような環境を自分で作っていくことが私にとっての幸せに生きる秘訣だと思います。
私は人生の豊かさというのは家族との時間がいかに充実しているかだと思っています。そのためには仕事面でも物心ともに充実している必要があります。
不動産の賃貸部門という一般的には儲からないと言われている部門でも稼げるようなシステム作りをしたり、また、スタッフには必ず定時で帰ってもらうようにしています。
私は、社員とその家族が皆幸せになれる会社つくりを目指しています。
−学生へのメッセージをお願いします。
いろんな人と話して、多様な価値観に触れてください。長い間自分の殻に閉じこもっていた私も、今は人とかかわることの大切さを身に沁みて分かりました。
一つ印象に残っているエピソードがあります。ジュエリーの工場を経営していた末期に、今後の事業のこと、スタッフのこと、その家族のことを考え、一人悩んでいました。
その時に日本の親友から「そんなに自分だけでため込んでないで、周りの人たちに相談してみたらどうだ?」と提案され、趣味で所属していたソフトボールチームの仲間二人に、本意では無いですが相談してみたんです。
僕はてっきり彼らからは『それは大変ですね、頑張って下さい』等のありきたりな言葉が返ってくるかと思っていたのですが、二人とも「実は僕もこういうことで悩んでいて…」って自分たちの悩みを打ち明けたんですよね。
その時僕は『自分が心を開くと、相手も同じように心を開くのか?!』と感じました。これに気付くのに大分長いことかかりました。人より20年くらい遅く、かなり損をしていましたね!
皆さんにはぜひ、自分の殻に閉じ困らず、広い世界で周囲の人間を大事に活躍していっていただきたいと思います。
横松さん、ありがとうございました!
取材担当コメント
自分の弱みと向き合いながら、自分に厳しく強く自分の道を進んでいる横松さん。社員とご自身の家族の幸せに考えていらっしゃる姿がすごく素敵でした!
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