海外就職者の履歴書、その「理由」と「その後のキャリア」を聞く

 

ベトナムの路上で座るネルソンさん

ベトナムの路上からこんにちは!ライターのネルソン水嶋です。

突然ですが、私、ベトナムに住みはじめて7年目になります。

帰国時に、知人や友人、初対面の人に「ベトナムに住んでいる」と言うとよく掛けられる言葉が、「すごいね」だの「絶対無理だわ~」だの。いやいや、ちょっと言わせてもらっていいですか?すごくねぇわ!!…もちろん、社交辞令もあるかもしれないけど、判を押したようにみんながそう言う状況もなんだかなーと思っています。

といっても私もベトナムにしか住んでいないので何も知ったようなことは言えませんが、それでもやっぱり、多くの日本人が海外就職を特別視しすぎている気がする。でもそれって、その環境の人が身近にいて、リアルなところを知っているかどうかだと思うんですよね。現在、海外在住日本人は130万人以上(※)いるとは言え、家族や友人の中にいるという人は少ない。※海外在留邦人数調査統計(外務省)より

そこで…

どんなきっかけで行ったの?…

どんな職種や仕事だと働けるの?…

海外就職のキャリアは役に立つの?…

履歴書

それらに応えるべく、海外就職中あるいは経験者の友人たちに話を聞いてみました!

経歴書も書いてもらっております(実名や固有名称は伏せています)。

海外就職者のリアル、少しでも伝わっていただけると幸いです!

「日本で就職できなかったから中国へ」 池本さん(20代・男性)

中国へ就職した人
池本さんの履歴書

2011年4月 中国・大連の韓国系ウェブサービス会社 ★中国で新卒就職!

2011年4月~2013年3月 同上の会社の検索エンジン関連部門

2013年4月~2014年2月 同上の会社のウェブサービスのカスタマーサポート部門

2014年3月~現在 中国・上海の台湾系翻訳会社

水嶋
どんな理由で海外就職を?
池本さん
日本で就職活動をしていたけど、うまくいかなかったからです
展望台から望む、上海の金融街の景色。

展望台から望む、上海の金融街の景色。

水嶋
とはいえ、新卒で中国だよね?なかなか思い至らないと思うけど…
池本さん
たまたまTwitterでつながっていた中国在住の人に、『中国に来れば?』と冗談っぽく言われたことがきかっけでした。そこに、会社を離れても使えるスキルが欲しいと考えていたという事情も重なって、中国で働きながら中国語を身につけてみようという考えに至って
水嶋
現地にいる人からのアクションって大事だよね、私もそうだった。冗談でも、『そういう選択肢もあるのか』って思うもの
上海、海関大楼の夜景

上海、海関大楼の夜景。

水嶋
来年帰国すると聞いたけど、海外就職での経験は役に立ちそう?
池本さん
きっかけにある通り、もともと独り立ちできるスキルが欲しいと考えていたので、語学力を活かしてフリーランスの翻訳者になりたいという気持ちが強いです。どこかに転職をするにしても、まずは翻訳を検討します。海外経験というよりは、この分野で順当にキャリアアップを目指したいという感じでしょうか

新卒で海外就職という、同世代においては珍しいケースの池本さん。彼の語学力の高さは個人的にも知るところですが、(志望する業界との相性はあれども)日本で内定を取れなかったということは、日本の就職活動が必ずしも良い結果を得られる訳ではないと思いました。

うまくいかなかったとしつつも、それが翻訳者としては最短のキャリアパスになった。何が吉となり凶となるか、自分の行動次第だと考えられます。

「専門職で探せばすぐに職は見つかった」 藤山さん(30代・女性)

一般的な、ベトナムのオフィス風景。

一般的な、ベトナムのオフィス風景。

藤山さんの履歴書

2004年4月~2006年11月 出版社でインテリア雑誌の編集部

2006年12月~2012年1月 新聞社で女性向け情報誌の編集部

2012年2月~2015年5月 出版社で在住者向け雑誌の編集部 ★ベトナムで転職!

20155月~現在 日本に帰国し、印刷会社に勤務、観光情報誌の制作・編集

 

水嶋
どんな理由で海外就職を?
藤山さん
学生の頃に留学への興味があったのですが、親から『社会に出て仕事をした方が勉強になる』と言われ、何も言い返せずに就職しました。それから編集の世界で必死に仕事するうちに、気づけば29歳。ワーキングホリデーの利用は30歳までだったので、『今真剣に考えないといけない!』と焦りだして
水嶋
目安となる年齢って大事ですよね。個人的には、海外就職は20代のうちがいいと思う
藤山さん
そこで、改めて自問自答してみたところ、日本に生まれたからこそ外の環境に触れてみたいし、それはやらなければならないことだと思ったんですね。でも、観光では良い面しか見られないし、働かなければならない。また、自分自身の力を試してみたいという気持ちが強くありました
ベトナムのホーチミン市、最高層のビルから望む夜景。

ベトナムのホーチミン市、最高層のビルから望む夜景。

水嶋
それで、どうしてベトナムに?
藤山さん
正直、最初はどこでもよかったです。受け入れてくれるところがあればそれだけでありがたいと考え、2~3年の生活を前提に最低限の生活費を稼げ、場合によっては貯金を切り崩して生活を送れるところで転職先を探したところ、それが東南アジアに。たまたま直前に働いていた会社で出張する機会があったので、ベトナムに絞りました
水嶋
日本もベトナムでも編集職ですよね、やはり必須条件だったんでしょうか
藤山さん
いえ、海外での生活が目的だったのでこだわっていなかったのですが、やはり専門職の方が仕事を見つけやすかったですね。海外でも日本でも、強みを活かすことは当たり前のことだとは思いますが…
地元のひとびとの移動はもっぱらバイク、排気ガスにまみれながら通勤。

地元のひとびとの移動はもっぱらバイク、排気ガスにまみれながら通勤。

水嶋
今は帰国されていますが、海外就職での経験は役に立っていますか?
藤山さん
今の仕事はベトナムと無縁なので、経験を活かせているということはほぼありません。3年ちょっとしかいなかったので経験値も高いと思いませんし、言葉が出来る訳ではないので、積極的にベトナムに関係する仕事を探さなかったという背景もあります。今は、そこまで経験にこだわらなくてもいいのかなーなんて、開き直っています(笑)
水嶋
仕事面以外で経験が活きているところは?
藤山さん
そうですね。ベトナム(海外)での生活は、あらゆる面で不自由でしたが、それは覚悟していたのですべてにおいて寛大だった気がします。たとえば、レストランで注文したものが違っていたら、相手を責めるより、伝え方が悪かったかな?と思うとか。その意味で、日本に戻ってしばらくは優しかったですが、今は少し戻ってしまったかも(笑)。でも、自分の経験値だけで物事を決めないようにと気をつけていますね
ベトナムでは駐車管理のためにバイクにチョークで数字を書かれるが、これで怒るのは筋違い!?

ベトナムでは駐車管理のためにバイクにチョークで数字を書かれるが、これで怒るのは筋違い!?

「海外経験は活かせていない」と言う藤山さんでしたが、「自分の経験値だけで物事を決めない」という考えこそが、大きな経験なのではないだろうかと感じました。日本で生まれ育って、知らず知らずのうちに根付いている常識も、海外(外国)に行けばしばしば吹っ飛びます。「日本に生まれたからこそ外の環境に触れてみたいし、それはやらなければならないこと」という言葉には、私自身も深く頷ける意志を感じました。

「日本の同世代と違う時間で生きる」 上村さん(40代・男性)

ベトナムで働いている人
上村さんの履歴書

1997年4月~2000年6月 建設会社に勤務

2000年7月~2004年6月 卸売会社でコールセンター勤務

2004年7月~2006年12月 中国・大連で日系のコールセンター管理会社 ★中国で転職!

2007年4月~2010年8月  日本&中国・コンサルティングBPO会社

2010年10月~2013年12月 中国・無錫でBPO業務設計のフリーランスとして独立

2014年1月~2016年1月 台湾・日系の広告代理店の台湾オフィス

2016年6月~現在 ベトナム・同上、ベトナムオフィス

水嶋
海外就職…も、ベトナムで4拠点目ですか!長いですね
上村さん
そうですね
水嶋
早速ですが、どんな理由で海外就職を?
上村さん
日本での勤務地が新宿にあったんですが、満員電車もすごいし、帰れない日もあるし、働くことがイヤになっていた時期があったんですね。そんなときに、元上司が独立して大連に支社を持っていたつながりで、『(大連で)働かない?』と声を掛けられたことがきっかけでした
水嶋
ということは、積極的に海外に出たいという訳でもなかった?
上村さん
そうですね。とくに海外が好きって訳でもなく、それまで一度も行ったことはなかったし、タイミングよく誘われたという感じです。きっと現地にコネクションがないと、なかなか行こうとは思わなかったと思います
ナイトマーケット文化

上村さんが一番のお気に入りだという台湾。ナイトマーケット文化が根付き、夜歩きが楽しい。

水嶋
今から15年前に、上村さんの年齢で海外に出ている人ってあまりいなかったんじゃないですか?
上村さん
はい。25歳の頃だったんですが、私より年下の人はほとんどいなかったです。ただ、当時の大連は日系企業がITオフショアの拠点として多く来ていたので、とにかく日本人が多かったですね。今はかなりの数が撤退していて、日本人社会という観点ではゴーストタウン化してしまっているようです
水嶋
まさにバブルだったんですね…それから海外に根付いた人も多そう
ベトナムの街並み

日本のようで日本じゃない、懐かしいけど違う、不思議な感覚。

水嶋
社会人の半分以上を海外で過ごされていますが、日本とは違ってよかったことって何ですか?
上村さん
時間の配分が違うことですかね。日本だと通勤に往復2時間も使ったりしますが、今まで海外で働いた場所だと30分以内に収まることもあり、これが15年分と考えると得をしてるなと思います。もちろん、その都市でも良い場所に住めるという環境があってのものですが。あとは、フリーランスのときにとくに思いましたが、海外だと目立つこと。職種が専門的であればあるほど、その国で●●に強い人という希少価値が生まれる。手に職を持っている人は、海外をフィールドにすることのハードルって実は高くないですよね
水嶋
逆に、よくないなと思うことは?
上村さん
長くいると、根拠もなく強気になってしまうこと。「転職したい」と言いながら辞めない知人や友人を立て続けに見て、「辞めたらいいのに。そんな考えで大丈夫なの?」と思っていた時期があったんですが、自分はたまたま日本から出ただけなのに、今になって思えば強気になっていたなぁと。それと、これは良くも悪くもありますが、「しなければならないこと」を意識せずにいること。家を買うとか、結婚するとか、保険に入るとか。帰省中に同世代の友人と話していると、彼らと同じ流れの中にはいないんだなと感じます

海外就職が15年という上村さん、国際結婚などの経緯ではなく、これほど長く海外に身を置かれている方はそう多くありません。それだけに、長い目で見た「海外で働くこと」について語っていただけたように思います。

とくに、後半で象徴される「日本に住む日本人と感覚がズレていく」ということは私も日々感じることであり、寂しさを感じるところである一方、こうして独特な視点で見られることは大事なことだとも思っています。

人には人の海外就職の事情あり、あなたはあなたの事情で。

三人三様のリアルな海外就職をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。きっかけは「日本を外から見たいと思って」「新卒で就職できなかったので」「日本で働くことがいやになって」と、さまざま。得られた経験だって「ないと開き直っている」「学んだ語学で翻訳者に」「自分の時間と専門職の価値」と、さまざま。

海外就職に限らず、話を聞ける人が身近にいないと想像が膨らみがち。私もベトナムで暮らす数ヶ月前まで一度も海外に行ったことはなかったですし、海外で働く人はものすごいエリートサラリーマンなんだと思い込んでいました。でも、行くことは大したことはないです。むしろ行ってから大したことが出来るかどうかですよね。

水嶋

最後に。この記事は、海外就職で悩んでいる人の背中を押したい一心で書きました。グローバル社会がどうのこうのと勇ましい言葉も、今の日本はダメだという後ろ向きの言葉もあまり言いたくない。興味があるなら、とりあえずプロに聞いてみたらいいじゃない?人生、少しくらい雑に扱う方がおもしろいと思いますよ!


最後まで読んでいただきありがとうございました!

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