−プロフィール
船岡 智哉氏
1995年 東京損保鑑定株式会社に入社し、損害保険鑑定人資格取得。
2014年 9月 タイにおけるロス・アジャスターライセンス取得
2015年 1月 Tokyo Sonpo Kantei (Thailand) Co.,Ltd. President 就任。
橋本 幸一郎氏
2001年 東京損保鑑定株式会社に入社し、損害保険鑑定人資格取得。
2015年 11月 Tokyo Sonpo Kantei(Thailand) Co.,Ltd.出向。統括チーフ就任。
2016年 6月 タイにおけるロス・アジャスターライセンス取得。
−事業内容を教えていただけますか?
船岡:火災・爆発・風水害・地震など、さまざまな災害は日々絶えず、決してなくなることはありません。
これらの保険事故が発生した場合、正しい保険金が速やかに損害保険会社から支払われる為に、迅速・適正に保険事故内容を調査しています。
橋本:保険全般の分野で保険事故が発生した際、我々のような鑑定人が現地に行き、被害程度の確認や支払い保険金を算出するような仕事をしています。
−お二方の大学生活に関してお伺いできますか?
橋本:私は建築を学んでいました。建築材料の耐火性能を専攻していたのですが、研究課題が多く、基本的には真面目に勉強していました。
船岡:私は経済学を専攻していましたが、その一方でサッカーのサークルを創設し代表を務めました。また、料理店でアルバイトもしていました。社会に出る前にアルバイトを通じて会社の仕組みや収支の計算の仕方などが学べたのは非常に良い経験でした。
−その頃から組織を運営したいと言う気持ちはあったのですか?
船岡:そうですね。漠然といつか組織を経営したいという想いはありました。
−大学卒業後のキャリアを教えてください。
橋本:卒業後、東京本社に入社しました。そこからずっと損害鑑定の仕事をしてきて、2015年にタイに出向となり、現在に至っています。
船岡:私も同じです。僕らは生え抜きですね。
−日本でもそうですがやはりタイでも災害は多いですもんね
橋本: 我々がタイに進出したきっかけも2011年のタイ洪水ですし、強風も多く発生しています。タイ洪水の時は、日系工場に甚大な被害が生じ、特例としてタイで損害調査を行うことになりました。
−タイで事業をする際にメリットはどこにありますか?
橋本:メリットはマーケットの大きさです。タイに進出している日系企業も多いですし、ASEAN全体をマーケットとしてとらえた場合、いずれ日本の数倍になると考えています。我々は日系損害鑑定会社のなかでも最初に東南アジアに進出してきているので、そういった意味でチャンスは多いと思います。
−タイ人と仕事をしていて苦労されることはありますか?
橋本:タイの国民性として、主体的に動く人が少ない気がします。なので、日本人がタイ人に指示を出す場合は、指示をより明確に伝え、結果や途中経過を何度も確認しなければなりません。
船岡:タイには目に見えない階層社会があります。上位5%が富裕層で、その下に中間層、下級層が続きます。どの階層の人と仕事をするのかで苦労の種類も違ってきます。
−逆にタイ人のすごいと思う点を教えてください。
橋本:懐が深く、明るいところです。
−タイ人と日本人の相違点はありますか?
船岡:日本人は比較的、「チーム」といった集団意識を大切にするのに対し、タイでは基本的に「個人」を大切にします。なので、日本人と仕事をする時と同じようにタイ人と仕事をするとうまくいかないことが多いです。
−キャリアの選択をする時に大切にされている価値観を教えてください。
橋本:色々なものを見たいとか、色々な経験をしたいという好奇心を大切にしています。損害鑑定は、建築や機械、会計など、様々なものに触れることができると考えこの道を選びました。
船岡:最終的に成功するイメージができるかどうかを基準にしています。その為には色々な事前調査が必要です。
−自分をよく知るためにはどういった経験が必要だと思いますか?
船岡:色々な人と知り合って、色々な人と話してみることだと思います。自分と違う価値観の人と触れ合うことによって自分を知ることができます。
−大学生の内にやっておいたほうが良いことはありますか?
橋本:人間性を磨くことです。礼儀正しさや人への思いやり等、学生の内に磨きをかけておくことをお勧めします。
船岡:どの業界でも良いので、社会の仕組みを理解しておくことです。気になる業界があったら、その業界の構造を調べてみる。そうして業界ごとの繋がりを理解してみる。社会人になれば自然とやることなのですが、学生の内からこの視点を持っている学生は社会人になった後にすごいスピードで成長すると思います。
−最後に学生に向けてメッセージをお願いします。
船岡:常に考える習慣をつけておかないと成功することはできません。なので、学生の内に考える習慣をつけておいてください。
また、日本でも、海外でもいかにお客さんの身持ちが分かるかが勝負なので、その感覚は磨いておいたほうが良いと思います。
橋本:余裕をもって自分と向き合ってほしいと思います。焦ると自分や周りが見えなくなってしまいますので、将来やりたいことをゆっくり考えて下さい。
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