こんにちは!海外で働きたい人を応援しているアジアマガジン(@asia_maga)です。今回は海外進出を考えている企業、海外で起業をしたい方にぴったりな内容をお伝えしようと思います。
先日2018年3月23日(金)に開催されたイベント「海外展開に挑む日本企業の今と未来に触れる!〜経産省 世界を目指すベンチャー企業派遣プログラム(飛躍 Next Enterprise)〜」をアジアマガジンが取材してきました!今回は海外進出を目指す方々のNext Actionのきっかけ作りとなるこちらのイベントをレポートしていきます!
>>目次
ベンチャー企業派遣プログラム 飛躍 NextEnterpriseとは?
本題に触れる前に、まず飛躍 NextEnterpriseのベンチャー企業派遣プログラムについてご説明します。
こちらのプログラムはJETRO(日本日本貿易振興機構)とデロイト トーマツベンチャーサポート株式会社が運営していて、海外に進出したいという企業の事業フェーズやニーズに合わせて3つのグループに分類し、合計で5つのエリアに派遣するプログラムです。
グループはこの以下のように分けられます。
グループ1 業務提携・進出模索
グループ1の対象はすでに売り出したいサービスや事業が決まっていて現地での提携企業や進出方法を模索したい企業。
派遣される国はシリコンバレー・シンガポールと分けられます。現地訪問期間は5日間で事前にビジネス英語の取得や現地の政府や企業に関する知見の提供、個別メンタリングなどが行われます。
グループ2 現地フィードバック獲得
グループ2の対象は商品やサービスが決まってはいるが、まずは展示会などを通して顧客感度を掴みたいと思っている企業。
派遣される国はヘルシンキ・ベルリ(Slush/Disrupt Berlin)とオースティン(SXSW)に分けられます。それぞれのイベントに出展に実際に現地の方にサービスに触れてもらいフィードバックを獲得します。
グループ3 現地肌感覚獲得
グループ3の対象はまだまだ日本企業の進出の少ないイスラエルに訪問し、現地の文化や国民性について学びアンプレナーシップを体感したいと思っている企業。
派遣先はイスラエルとなり、YLP(Young Leadership Program)を活用しイスラエルの歴史・文化的背景を学びます。
また、企業訪問を通じて現地のビジネスの可能性を探ります。
こちらのプログラムは、なんと経済産業省から委託を受けて運営している国家プロジェクトとなります!
イベントの大まかな概要
今回開催されたこちらのイベントは大きく2部構成で行われました。
1部は先ほどご紹介した飛躍 NextEnterprisedで実際に派遣された企業の中から各国ごとに代表の1社が行う報告会。
2部は下記3名のゲストを交えたパネルディスカッション。
- Forbes JAPAN 編集次長 兼 WEB編集長の九法 祟雄氏
- ベーシック CSO / ユニコーンファーム CEO 田所 雅之氏
- Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
「海外展開する日本企業のあるべき姿」というテーマを元に、実際に海外で事業を展開する田所氏、徳重氏から海外進出に必要な考え方について学びます。
Terra Motorsの徳重氏はベトナムをはじめ、インドやバングラデシュなど東南アジアを中心にビジネスを展開する実力起業家!アジアへの進出を考えている方にとっては要チェックな内容です!
それではイベントの内容を詳しくレポートしていきます。
少しでも、これから海外への事業展開を目指す方のお役に立てれば幸いです。
1部:派遣企業の事業報告会
1部では実際に派遣された企業の代表の方からの成果報告会です。プログラムに同行したデロイト トーマツベンチャーサポート株式会社・JETRO(日本日本貿易振興機構)からの報告に続き、実際に派遣された企業の中から代表1社による報告会が行われました。
グループ1/シリコンバレー
▼登壇者
株式会社ユカシカド 代表取締役 CEO / 美濃部 慎也氏
▼背景
・自社サービスVitanoteをアメリカで展開するために派遣
▼結果
・シリコンバレー訪問中に飛び込み営業を行い、実際に提携を結ぶ企業に会うことができた
・企業や大学にヒヤリングをすることができた
グループ1/シンガポール
▼登壇者
アクアシステム株式会社 代表取締役 / 狩野 清史氏
▼背景
・自社商品「mil-kin(見る菌)」をシンガポールでも展開していきたい
▼結果
・シンガポール政府で力を入れている食品/教育/ヘルスケア産業にアプローチして、政府レベルでの協力を得ることができた
・日本から近いシンガポールなら、短期間でビジネス展開を狙うことができ可能性を感じることができた
グループ2 / ヘルシンキ・ベルリ(Slush/Disrupt Berlin)
▼登壇者
東京ハース株式会社 代表取締役 / 紀野 知成氏
▼背景
・自社サービスの国際住宅運営プログラムを海外でも知ってもらい日本への居住者を増やしたい
・ヘルシンキに日本人が住むコンセプト型の住宅を作り、世界へ出る日本人を増やしたい
▼結果
・プログラムを通じて事業の方向性が固まり、ヘルシンキでの不動産契約/大使館との連携など、事業拡大の協力者を得ることができた
グループ2 /オースティン(SXSW)
▼登壇者
Yume Cloud Inc. CEO / 吉田 大輔氏
▼背景
・自社製品「GLOW」の販売を加速していくために、展示会を通してフィードバックを得たい
▼結果
・前回イベント出展時1件も商談に繋がらなかったが、3社の企業と協力して出展したことにより、6件の商談を進めることができた
グループ3 / イスラエル
▼登壇者
日本環境設計株式会社 取締役 管理部長 / 原 大介氏
▼背景
・イスラエルのエコシステムについて学ぶとともに、文化や歴史について知るため
▼結果
・ビジネスに繋がる結果は得られなかったが、イスラエルの文化や人について学ぶことができ、これまでのイメージを塗り替えることができた
各プログラムを経験した起業家の方からはポジティブな感想が多く見受けられました。
次の章では、各登壇者の話を聞いていく中で、海外進出について見えてきたものについて、お伝えしていきますね。
報告会を通じて見えてきたもの
日本のベンチャー企業を代表して、実際に海外展開に向けて一歩踏み出した企業の方々からの報告会。
その中から海外展開において感じるものがありました。
私たちが持っている海外へのイメージは、必ずしもそうであるとは限らない
アメリカでは飛び込み営業は相手にされないと聞いていたが、
実際に12件飛び込み営業をし役員に会えたり、商談に持っていくことができた
株式会社ユカシカド 代表取締役 CEO / 美濃部 慎也氏
イスラエルは全員ユダヤ教の宗教国家で、人も恐ろしいイメージがあった。
実際は民族国家で穏やかな人も多かった。
日本環境設計株式会社 取締役 管理部長 / 原 大介氏
印象的だったのは、「実際に現地に行ったからこそ、気づけた部分が多くあった」という感想が多数見受けられた点です。
ネット上の誰かを通した二次情報ではなく、現地で掴む一次情報が大切さを改めて感じました。現地の情報を徹底的に調べるのも大切ですが、実際に行ってみるという点はとても重要ですね。
横のつながりができる大切さ
前回イベント時は単独で出展し成果はゼロだった。今回は共にプログラムに参加した方々と協力して出展したことで実際に現地企業と商談に進めることができた
Yume Cloud Inc. CEO / 吉田 大輔氏
多くのプログラム参加企業の方から、参加企業間の横の繋がりができたというお声がありました。
日本国内では競合になるかもしれない企業でも、海外に出れば同じゼロからのスタートを切る仲間になる。
海外展開においては企業間で協力していくことも、成功するために大切な要素になり得ると感じました。
報告会に参加した企業の方々からはポジティブな気づきや今後の展開に対する前向きな姿勢など数多くの意見を聞くことができました!
続いて第2部のパネルディスカッションについてレポートしていきます!
2部:パネルディスカッション〜海外展開で成功するために〜
休憩を挟んだ第2部では実際に海外で事業を展開し、成功を収めている先輩起業家によるパネルディスカッションが行われました。
「海外展開に挑む日本企業のあるべき姿とは?」といったような、日本を代表して海外で挑戦し続ける先輩起業家の力強いメッセージには、数多くの学びがありました。
日本のブランド力を活かしている企業が少ない
(写真右から徳重氏、田所氏、九法氏)
とても印象に残ったのは徳重氏のこの言葉。ディスカッションの中でも何度かお話されていました。
日本の会社というだけで海外からは評価される。ブランド力を持っているのにほとんどの企業がそれを活かしていない。それはとてももったいないと思う。
Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
その言葉通り、日本企業は海外からの評価が高く、特に東南アジアでは日本企業で働くために日本語を必死に勉強している方がとても多いです。ビザなしで入国できる国の数も日本が最多です。
ところが日本はグローバル化が遅れているのが現状。変化の激しい現代社会で、ベンチャースピリットを持って海外展開していく必要があるとのことでした。
ビジネス成功に必要不可欠な5つの要素
ベーシックCSO/ユニコーンファームCEOの田所氏は日本でも海外でも、ビジネス成功には5つの要素が必要とのこと。
- Want: 創業者/経営陣が海外でやりたいと思っているか?
- Need: そもそも海外でニーズがあるか?
- Get Paid: 海外市場を取ることが生き残る条件になるか?
- Can: グローバルで戦えるUnfair Advantageがあるか?
- Growth: 今後成長していくストーリー/戦略があるか?
田所氏の提唱した5つの要素に対して、ディスカッションは進んでいきます。
Want: 創業者/経営陣が海外でやりたいと思っているか?
5つの中でも最も大切なのはWant。自分の事業に対してこれをやるために自分は生まれてきたというくらいの気持ちを持つことが大事。
ベーシック CSO / ユニコーンファーム CEO 田所 雅之氏
海外で事業を成功させている人は、自分の実体験などから使命感を持って事業展開している人がほとんどであると田所氏は語っていました。
日本で事業を展開するにおいても、なぜその事業を行いたいのかというWantは大切ですが、日本の常識が通用しない海外ではより重要になるとのことでした。
また、そのWantをいかに社員と共有していくか。東南アジアで事業を拡大する徳重氏は、採用の際にも同じ志を掲げた人間を見極めることを意識しているそうです。
Need: そもそも海外でニーズがあるか?
Wantに次いで大切なのがNeed。
海外でニーズがあるかを考えに考え抜くことが重要であるとのことでした。
アジアは日本人が想像する以上に価格に敏感である。本当に売れるのかという観点を持ち続け、シリアスに考えていく必要がある。
Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
このように語る徳重氏も、実際にベトナムで販売してたバイクが全く売れないという経験をしたそう。
そこで価格帯を下げた別のバイクを販売したところ、好調に売上げが上がり、現地のニーズを掴んでいったとのことでした。
Get Paid: 海外市場を取ることが生き残る条件になるか?
海外市場に早い段階から目を向け、いかに早く勝ちパターンを見つける。勝ちパターンを見つけたら一気に展開していくというスピード感が大切。
Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
多くの海外事業に成功する企業は国内だけでなく海外市場に目を向け、日本の市場が縮小する前に海外に展開しているとのことでした。
実際に先立って海外展開をして成功した企業、日本の市場に留まったことで事業展開が滞ってしまった企業もあります。
生き残るためには先立って行動をし、失敗を繰り返しながらも、勝ちパターンを見つけることが重要であることがわかりました。
Can: グローバルで戦えるUnfair Advantageがあるか?
世界初の技術を見つける、身につける。
ベーシック CSO / ユニコーンファーム CEO 田所 雅之氏
グローバル市場で戦っていくには、技術やサービスが世界に通用するくらいのレベルであることが重要とのことでした。
また、いかに先の先を見据えて現在の事業を展開していくかが大切であるとお話されていました。
実際に徳重氏が現在展開しているドローン事業は、数年後のプラットフォームになるという市場を見越しているとのことでした。
Growth: 今後成長していくストーリー/戦略があるか?
その事業に今後の成長が描けるか?冷静に見つめ成長を見こしていくことが必要
ベーシック CSO / ユニコーンファーム CEO 田所 雅之氏
最後の要素は成長してくストーリーが描けるかどうかが重要とのことでした。
これまでの4つの要素を踏まえた上で、この事業でどう成長していけるか?を冷静に見据え、スピード感をもった事業展開をしていくことが成功の秘訣であると知ることができました。
企業が成長していくには資金調達が重要となる。国内の展開時から資金調達とスピード感をもった海外展開を想定していくべき
Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
プロダクトで最も大切なのは人。成功のためには良い人材を確保することも重要
成功するための5つの要素を説明してくださった田所氏と徳重氏。
もう1つの大切なポイントとして一緒に働く人材の採用について触れました。
日本人の採用において大切なのはバイリンガルな人材よりも不確実性に耐えられるメンタルをもった人。海外での失敗経験がある人間は強い。
Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
日本の当たり前が通用しない海外では、経験したことのない壁にぶつかることも多いです。徳重氏が見てきた中でも最初の3ヶ月をすぎるとメンタルが下がっていく人も多いといいます。
そのような時に自分をどうケアできるか、言語よりも耐久性をもった人材を見極めて、採用していくことが重要であるとのことでした。
できるだけ早く失敗をする。その失敗を活かしてまた挑戦する
とにかくやってみる。
うまくいったらラッキーでうまくいかない方が多い。
どの国においても、やってみないと肌感はわからない。
いかに早く、小さく失敗をしてその経験を活かして次にチャレンジしていけるかが大事
Terra Motors&Terra Drone 代表取締役 徳重 徹氏
ディスカッションの中で徳重氏が最も主張していたのは、「とにかく早くやる」こと。
リスクヘッジをしながら行動し、小さな失敗をして経験していくことで、成功の鍵を見つけることが大切だとお話されていました。
終わりに
今回は「ベンチャー企業派遣プログラム 飛躍 NextEnterprise報告会 〜海外展開する日本企業のあるべき姿とは?〜」
イベントを通して最も感じたことは「考えるだけでなく、まず行動することが最も大事」だということ。
失敗を恐れず挑戦を繰り返している先輩起業家の方々の言葉には、強い説得力と背中を押してくれる優しさがありました。この記事がみなさんの行動のきっかけになることができたら幸いです。
今後、経済産業省ではグローバルに展開して次なる革新を世界にもたらすスタートアップを選抜し集中支援する「J-Startup」というプログラムを実施する予定です。「飛躍 Next Enterprise」をはじめ、これまで先駆的に実施しているスタートアップの海外進出支援を加速させて、世界に比肩するスタートアップエコシステムの構築を目指していくとのことでした。
また、本イベントを運営したデロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)では、海外進出を考える企業さん向けに今後もセミナーを開催するそうなので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
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