秋元聡氏プロフィール
20年に及ぶサラリーマン生活に終止符を打ち、インド南部都市チェンナイにインド初の本格的日本式ラーメン店「秋平 AKI BAY」出店し、インドで話題沸騰中。
—早速事業内容を教えてください。
日本の文化をインドに持ってきたと思ったときに、日本の国民食をインドに持って行きたい!と思いました。カレーが国民食であるインドで、日本の国民食であるラーメンを提供しています。
—インド風にカスタマイズしたラーメンを提供しようとは思いませんでしたか?
当初開店から最初の1年は、純粋な日本の味のみを提供することにこだわってきましたが、現在インド風にアレンジしたものなども少しずつラインアップしていこうとしています。
インド人は保守的な方が多く、「日本人は蛇やカエル食べるらしい」など、他のアジアの国々と混ざったイメージを持った方も多くいます。
仮に、4人中1人日本食を食べない!という人がいると全員が来られない。だからそういうグループが秋平にも来れるようなメニューを置くようにようと考えています。
—初めて日本のラーメンを食べた時のインド人の反応はいかがでしたか?
肌感ですが、だいたい9割くらいの方には受け入れられている、というイメージです。残りの1割は、食べたことないことにびっくりされているイメージですね。インドの食べログ的なページでも評価4点以上を頂いており、みなさんには好評です。
—なぜインドにしようと思ったのでしょうか。
以前出張でいろんな国をみていました。ヨーロッパ、アメリカや他のアジアの国は、もうすでにラーメンが流行ってきています。またベトナムとかカンボジアとかは国自体にお金が少ない。でもインドはもちろん貧しいひとはたくさんいるけれど、国自体は裕福であり、お金持ちの方も沢山います。
また、よく言われることですが、レッドオーシャンとブルーオーシャンという言葉がありますね。レッドオーシャンは、血を流しながら、少ないパイを取り合う、ということ。ラーメンに関しては、インドはまさにその反対のブルーオーシャンなんです。実際にはまだライバルがいません。今後そんなブルーオーシャンで先駆者になっていきたいですね。
—インドで働く魅力は何処にあると思いますか?
インドは本当にぐちゃぐちゃな国です。地域によって全然違う。だからこそバラエティに富んだ魅力的な国なんです。みんな英語が使えるし、特にお店を開いた南インドは穏やかで人柄がいいです。
昔、僕がインドの新聞紙で取り上げられたことがあって、その際に、間違えて僕の携帯番号が載ってしまったんです。でもその際に、ものすごい電話かかってきて。電話内容は、『記事読んだよ!すごいな!頑張れ!』等、とてもたわいもないものなんですけど、それがすごく嬉しくて。日本では多分ありえないことだと思うんですよね。電話番号が勝手に新聞に載る時点でありえないことですけどね(笑)。
なんだか、この感情の素直さや、他人のことを自分のことのように考えて応援してくれる様とか、感情移入が激しい部分がいいなと思いました。
日本だと、良くも悪くも単一民族ですよね。出る杭は打たれがちで、みんなと同じことを大切にするといいうか。だからこそ、この出来事を通して、インド人が自分の感情を大切にしていることを直に感じることができました。今でも、この記事を覚えてくれている人が多くて、本当にありがたいことですね。
—インドで大変だったことはありますか?
水がこない、停電する、大洪水などのインフラ面はもちろん、衛生面、時間の流れも日本とは違うから少なからず苦労しました。
—カースト面でぶつかる壁はありましたか?
今のラーメン事業をやる上では特にないかもしれないです。今、私の会社には9人のスタッフがいます。従業員全員に全部の仕事をしてもらうようなシステムにしており、みんなにラーメン作ってもらうし、全員にトイレ掃除もしてもらう。
もちろんインドでは分業が進んでいるけれども、僕の会社では頑張れば頑張るほど上にいけるんだ、ということをみんなに理解してもらって働きがいを感じて欲しいんです。カースト制度に縛られずに、頑張れば上にのし上がれるんだよ、という夢を提供する責任もあると思っています。
—逆に気づく日本の魅力とは何でしょう?
日本人は皆時間守るし、清潔だし、洗練されている感じはしますし、おもてなしの心などは、日本が誇る魅力だと思います。また、みんなが同じような考えを持っている点ではスムーズにことは進むなという気はします。
ただ、それは相対的な話であって、“郷に入ったら郷に従え”と思っているので、インドよりも日本が優れているという風には考えてはいません。
—秋元さんにとっての事業とは?
今まで会社勤めの時は、大きい流れの中の一つでしかなかったです。でも自分の事業は、全従業員の生活を背負っています。その分責任が違ってくる気がします。
日本食を提供する、ということはインドという地で日本の文化を作っていることになりますよね。それは日本人を代表してきているのだから、責任を持ってやり抜かなければいけないと思っています。
—今後の展望を教えてください!
インド初のラーメン屋として、もっともっとインドに日本の魅力を伝えていきたいです。それを通じて奥さんに恩返しをしつつ、自分の子供達に「こんな親父になりたい」って思ってもらえるようになりたいですね。
—やりたいことが見つからない若者にメッセージをお願い致します。
将来の夢は無理やり見つけるものではない気がします。面白くないからやらないという考え方だと、選択肢が狭まる気がします。その時出来ることを全力でやることで色々なものが見えてくると思います。
例えば、毎週、週の終わりに、”今週やったことを振り返って来週やることを決める”、など基本的なことから始めてみたらいかがでしょうか。
海外で働きたいと思うのか、ああ親父すげえな!じゃあ親父の家業を継ごうとかなんでもいいので、日々感じたことをよく考えながら、漠然とは日々を過ごさない方がいいかと思います。
—大学に戻れるのなら何をしますか?
英語の勉強とお金の勉強ですかね。学生時代に英語はベースとしてやっておいた方がいいですね。英語はコミュニケーションツールで、日本語だけだと1億人ちょっとの人としか話せないですけど、英語話せることで関わる人の数がもう全然違いますよね。お金の勉強に関しては、仕組みをしっかり理解している人が少ない分、余計に思いますね。
今の経済は拝金主義なんですよね。それは仕方がないことなのですが、お金を持つことが目的なのではなく、お金は信用に対する対価だということを考えるといいかと思います。自分の信用を磨きつつ、お金の仕組みを学ぶことで世界が広がっていくと思います。
—最後に20代へメッセージをお願い致します。
魅力的な人間でいるように心がけてください。魅力的な人間にはお金も人のあらゆるものが集まってきます。日本だけでは狭いので、世界を視野に入れ、色々な考え方を吸収し、お互いがリスペクトしあえるような人間関係を作りながら頑張っていって欲しいですね。
取材担当者コメント
新聞に秋元さんの携帯番号が載ったことなど日本ではありえないエピソードをきくことができました。それを日本ではありえない!と怒るわけでもなく寛容に受け取っている様はインドをリスペクトしてそこの地で事業をやられているのだなと、20歳へのアドバイスと一貫していると感じました。事業をやる上だけでなく、人としてあるべき姿を教えていただき大変貴重な時間でした。
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