早瀬恭氏プロフィール
愛知県名古屋市出身。大学卒業後、2007年JACリクルートメントに入社。2014年にインドの事業法人を立ち上げ、現在インドに約3年間滞在。
-事業内容紹介
JAC Recruitment Indiaでは、人材紹介サービスの提供を現地日系企業を中心に行っています。提供範囲としては主に2点で、マネージャー職を中心としたインド人の紹介、そして、現地を志す日本人現地採用の紹介となります。JACグループは、既に設立41年、当時日系企業の進出が盛んであったイギリスから事業をスタート致しました。現在では、シンガポールやマレーシアといった、アジアを中心に10ヶ国に展開をしているアジア最大規模の人材紹介会社です。
-2007年に入社されて2014年にインドでの立ち上げはすごく早いですね。
当時29歳、右も左を分からないながら、たくさんの方に助けを乞うて今の形にする事が出来ました。一人で何でも出来ると当時は思っていましたが、所詮一人では何にも出来ません。良い経験になったと感謝するばかりです。
-インドで働いて感じる魅力を教えてください。
インドの魅力は一言では語りつくせません。3年住んでみて分かった事もあれば、前よりも分からなくなってしまった事もあります。文化・商習慣・慣習・常識などなど、そのどれもが日本とはかけ離れていて、かつ多様性に溢れています。自分の価値観とは全く異なる事を受け入れるのは、簡単な事ではありませんが、年月を重ねるごとにどんどん固執しがちな自分の価値観を容赦なく壊していってくれる所は、人生に大きな影響を与えるものだと感じています。
また、日本人コミュニティーも魅力の一つです。まだまだ他国と比較すると日本人の数が少ない、だからこそ人と人との繋がりが深まりやすい。日本にいたら絶対に会えないような人と気軽に会って、お酒をご一緒したり出来る。私も、現地の皆さんからたくさんの事を学ばせてもらったと感じています。
-今後インドはどうなっていくと思われますか?
どうなんでしょう。いつも予想の斜め上をいく国ですので、こうなると明言は出来ないところですが、成長曲線から見ると間違いなく国として大きく飛躍をしていくと思います。中国ほどのスピード感はないかもしれませんが、数年後には世界の中心になると思います。
−なぜインドは中国ほどのスピードで成長しないと思われますか?
政策に大きく宗教が絡む点、また貧富の差を含めた多様性が原因にあるような気がします。この国の政治の舵取りは非常に難しく、幸せにすべき人達が、色んな種類で、たくさんの数います。だからこそ、トップダウンで物事を進めづらく、緩やかな成長をしていくのではと思います。
−インドで感じる日本の魅力はありますか?
日本人にとっては最高の国ですよね。食事・言語・生活、何をとっても一切の不自由がない。仕事をする上でも、同じような常識・価値観を共有しながら仕事を進めていく事が出来る。正に阿吽の呼吸な通用する国です。
−では、日本に戻りたいとは思われませんか?
今はまだ思いません。まだ何も得れていないと感じるからです。上述の通り、居心地の良い場所を捨ててまで海外に出ました。この3年でも、十分な程色々な事を学びましたが、まだ世界で通用する人間にはなれていないと感じます。もう少し、やり切った、学んだ、自信がついたと満足出来るまでは海外に身を置いていたいと感じています。
―人材のプロとして、語学の必要性はどうお考えですか?
誰もが必要となる時代は来ませんが、今後日本にいても必要となる場面はどんどん増えていくと思います。だからこそ、今のうちにやっておいた方がいいとは思います。今から約10年前にiPhoneを代表にスマートフォンが発売され始めました、以降、物凄い勢いでインターネットを通じて情報が普及し、世界中の空間的国境がなくなりつつあります。となると、やはりコミュニケーションツールである英語が必要となる機会は増えていきます。また、日本経済を見ても、日系企業の海外展開は加速せざるを得ない状況になっていきます。そうなると物理的にも国境を跨ぐ必要が出てくる。「語学が出来れば選択肢が広がる」の今までと違い、これからは「語学が出来ないと選択肢が狭まっていく」と表現するように変わっていくと思います。
-英語を上手くなるコツはありますか?
話すしかないと思います。私は高校時代に1年弱渡米をしていますが、この期間、日本語をほとんど使いませんでした。使う機会がなかったんです。当時は携帯電話もありませんし、インターネットも普及していない、家族・友人から届く手紙と、何度も読み返した小説が、私の唯一の日本でした。全く英語が出来ない状態からのスタートであったため、泣きたくなるような日々でしたが、おかげで英語力は飛躍的に向上しました。
また、インド・シンガポール等、アジアで働いてみて思う事は、「皆、文法は間違えてる」という事です。というか誰もそんな事気にしてないんです。日本人はどうしても文法を気にして口数は減りがちですので、もう気にしない事。という事で、やはり使わないといけない状況に自分を追い込むのがコツかなと思います。ぜひインドへお越しください。
-20代で辛かったことはなんですか?
やはりインドに来て事業を立ち上げたことですね。何をやっても上手くいかなかったです。信じられない額のお金が一瞬で消えたり、頼りにしていたスタッフとの離縁なども経験しました。心の余裕が一切なく、色んな人にも迷惑をかけましたし、自己嫌悪に陥りました。そんなどん底の状態でも支えてくれて、乗り越えるきっかけとなってくれた、今のスタッフ、そして現地の友人には本当に感謝をしています。
-20代は何をされていましたか?
大学時代はブレイクダンスに熱中していました。社会人になってからも機会は減りましたが続けています。学生の頃は、本気で日本一にになりたくて、そこを目指して毎日欠かさず練習をしていたと思います。残念ながら日本一の目標は叶う事はありませんでしたが、大きく自分を変えてくれたと思っています。
-最後に、もし今、大学生に戻れるなら何をされていますか?
ダンスをすると思います。ダンスでなくとも、何か一つの事に全力で熱中をしたいです。スポーツでも、世界一周でも、何でもいいです。私は、人は成功体験を通してより多くを学ぶと信じています。そのためには何かを本気でやる経験と、目標に向けて全力でやったという自信が必要だと思っています。それに値する十分な時間が大学生にはあると思います。
取材担当コメント
落ち着いた口調で話されていた早瀬さんでしたが、数年でインドでの事業を黒字化するなどかなりの手腕をお持ちだと他の日本人の方からお聞きしました。何かに熱中した人は仕事にも活かせるのだなと再認識しました。
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