中島敬二氏プロフィール
○生年月日 :昭和19年9月26日生
○出身地 : 山梨県甲府市(甲府第一高校卒業)
○最終学歴 :慶応大学経済学部(昭和43年卒)
○現職:
Chairman, Nakajima Consultancy Services LLP(コンサルタント)
Chairman, Misaki Plastic Technology. Pvt. Ltd(金型製造会社)
Chairman, Manami Enterprise Pvt. Ltd.(日本食レストラン経営 3店)
Chairman, The Earth and Hospitality Pvt. Ltd.(有機野菜販売)
Chairman, Misaki Hotel Pvt. Ltd. (3つのホテル経営)
日経及びインド企業20社のアドバイザー(過去累計約40社)
インド企業6社の社外取締役
*立教大学元非常勤講師 *NPO人材アカデミー元副理事長
*デリー日本人学校理事長(1999年)・デリー商工会議所会長(2000年)
*インド関連セミナー講師(日本機械輸出入組合、日刊工業新聞、労働厚生省等)
*デリー大学及びネルー大学にて特別講義(経済及び日印関係等)
*週刊エコノミストへのインド担当定期執筆者
ー中島さんはどんな事業をされているのでしょうか?
65歳まで住友商事に務めたあと、インドと日本の架け橋になろうとインド政府のアドバイザーになりました。その後、周りの人達からコンサルタントの要望を受けて、中島コンサルティングサービスを設立。68歳の時に日本食レストランの経営、70歳の時にホテル経営を始めて今ではレストランはマネサール・デリー・グルガオンの合計3店舗、ホテルも3つ経営しています。
それ以外に有機野菜の販売会社、インド企業に日本の考え方のワークカルチャーを教えるための研修会社も共同で始めました。さらに中島人生インド塾というプライベートな塾を作って、インドで起業したい日本人や駐在員と共に勉強をしています。これは主に人間としての生き方の形成を目的としています。またJindal Global Universityにて日本の文化を教えております。
ーインドで働く魅力はなんでしょうか?
人情など日本の昔の良い所が残っているところです。ただ、これは一般の人には気がつかない。長く付き合えば付き合うほど、心から信用するようになり損得を超えた関係が生まれることもある。あとは魅力的なビジネスチャンスの多さですね。
ーインドで働く上で大切なことは何でしょうか?
ノウハウではなくノウフウつまりknow whoが大事です。ノウハウでは人間1つの頭2つの手なので限りがある。人間の仕事には大きく分けて3つあります。一つ目は自分の頭を使って行うヘッドワーク。二つ目は他の人の力を借りて行うチームワーク。最後はネットワーク。これは自分に足りないものを他の人に求めることです。お互いに強みと弱みを補完し合うことでシナジー効果が生まれ1+1が3にも5にもなる。つまり、ノウハウを知っている人を使うのがノウフウ。これを実行し合うには世の中を損得で考えないことです。常にギブ&ギブ&ギブ。人に何かしてあげた時に最初から見返りを期待していると、見返りがないときにわだかまりが残ります。そしてそれは人を不幸にします。上記のことを達成するには人の幸せを見てうれしく思わなくてはなりません。そのためにはまず自分が幸せでないといけません。でないと人の幸せに嫉妬してしまうでしょう。
そこで、幸せとは何でしょうか?幸せとは、幸せと感じることです。どんな状態でも自分が幸せと感じれば幸せなのです。だから、同じ状態でも幸せと感じる人もいればそうでない人もいます。どうすれば幸せと感じられるかというと、まずは周りの人に感謝することです。
もう一つは足るを知ることです。そのためには嫉妬をできるだけ抑えることです。嫉妬というのは比較することから生まれます。例えばあなたはビルゲイツをうらやましくは思わないでしょうが、自分の友人が成功して金持ちになったとしたら嫉妬するでしょう。それは自身と友人を比較しているからです。
ーインドで働いてみて感じる日本の魅力は何ですか?
日本人のDNAを強く感じることです。日本人のやることの良さを常々感じることができます。インドでは人が列に横入りしたり、車が割り込んで来たりが当たり前ですが、日本ではありませんよね。私は日本人の心意気をインド人に伝えることを自分の義務としています。
私は現在7つの会社をやっていますが、一日2時間しか働いていません。それは優秀な人を雇っているからです。例えばホテルの経営は、インド最大のホテルグループのマネージャーに来てもらって、私の考え方安全安心・ニート&クリーン・おもてなしの心・ビジネスホテルとしての庶民的な価格で営業してもらうようお願いしています。
ー中島さんが経営されているホテルの内装と一泊の値段を見ましたが、かなりリーズナブルですね。経営の方はどのような工夫をされていますか。
経営者として言うのはおかしな表現ですが、もちろん赤字です。最初は赤字でいいんですよ。おかげでミサキホテルは安くてきれいというのが定評となり、ホテル利用者が急増しています。11月現在ほぼ満室となっておりますので黒字化が達成できました。初期投資は後4~5ヶ月で回収できる見込みです。
現在2つのホテルから経営を依頼され交渉中です。日本食レストランを3軒経営していますが、一号店は2年経過して、現在も毎月100万円の赤字です。この場所は元々日本人がいなかったので、お客さんを呼び込むには何らかの価値がないといけません。そのためにはブランドが必要なんです。その際には「毎日食べても飽きない料理・同じメニューは月2回まで有機野菜及び高級肉などの使用」様々な工夫をしています。利益を出すためには①客数を増やす②客単価を上げる③コストを下げる、がありますが②と③をやると①がだめになります。この赤字経営でブランドを確立したため、2号店3号店への展開が可能となり、間もなくレストランビジネスも黒字になる見込みです。
ー元々、他のホテルから経営を依頼されるビジョンは見えていましたか?
私は常にどうしたらお客様に喜んでもらえるか、顧客満足度を考えています。楽天の三木谷さんがオンラインビジネスを始めた時、周りは上手くいかないからと言ってやめ始めていました。ただ、三木谷さんだけが携帯電話が今後普及するだろうというビジョン(将来起こりうることを予想する力)を持っていたのです。その意味で見える力を養うことは大切ですね。
ー20代はどう生きるべきだと思いますか?
若いときはあまり先を考えずに今日を一生懸命に生きること。すなわち今そしてここで一所懸命頑張ることです。今を夢中に頑張れば、自ずと色々な選択肢がやってきます。また将来よりたくさんのオプションを持つためには、他の人達からの話を最初から否定せずとりあえずに飲み込むことです。牛の反芻消化です。食べてみないとそれが有益なものかどうかはわかりません。
例えば、議論するとき自分の考えと違うからと思って否定したらそこで話が終わってしまいます。まず相手と話しをしていれば、話を聞きます(receive)。その後納得できれば受け入れます(accept)。納得できないと多くの人がノーと言いますが(reject)、そこでノーと言うのではなくちょっと待ってみる(hold)。そこで再び考えた上で判断しましょう。最初から全面否定するのはよくないです。人間は自分がなんでもわかっていると思ってしまいがちです。ノーと言う場合には明らかに相手が間違っている場合とただ相手の言っていることが理解できない場合があります。後者の場合、相手を拒絶してしまうだけでなく自分の成長の機会を逃します。
ーもし今大学生に戻れるなら何をされますか?
もう一度同じ道を歩みたいです。今まで得た知識を参考にしながら、より良い選択をしていきたい。商社マン以外の道を経験していないので、他の仕事の喜びはわからないです。一つの商社マンとしての働き方をして良かったと思っています。しかし、人生の節々でもう少し分かっていればこの選択はしなかっただろうというのは多々あります。仕事の時々で先生など他の仕事をしていれば良かったなと思うことは多少ありましたが、こうして商社マンとして身を退いた者としては、商社マンで良かったと思っています。
−最後に将来に悩んでいる20代へアドバイスをお願いします。
将来何になりたいかをはっきり頭に浮かべる努力することです。成功している人、幸せな人生を送っている人を見たり本などを通じてして自分がなりたい理想像を描きそれを自分のイメージとつなげることです。ネットでも実際に仕事をやってる人に聞くのもいいです。そうすると自分の想像と現実の仕事を照らし合わせることができ、そこからまた考えることができます。最もはっきり言えることは自分がやってみて楽しいことをやることです。
取材担当コメント
お話しの一言一言が含蓄深く、編集でどこまで中島さんの魅力をお伝えできているかわかりませんが、物事を長い目で見た考え方をお持ちの方でした。何よりも私が学んだのは「ビジネスとは人に喜んでもらうこと」という非常に簡単ながら忘れがちな考えでした。70歳を越えても勉強される姿を見て、改めて勉強の意義を感じました。
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