カンボジア|元派遣社員が世界の子どもたちに映画を届ける理由とは!?教来石小織さんにロングインタビュー[後編]

では、さっそく後編をお送りしたいと思います!

― 活動を継続的に続けていくために ―

(今)カンボジアでは現在順調に映画が子どもたちに届いていることがわかりました。そこで気になるのが、収益をどうしているかということです。映画配達人の方には謝礼をお渡ししているということでしたので。クラウドファンディングを達成されているのを拝見しましたが、その資金が尽きたらどうなるのかなと。教来石さんのお給料って団体から出ているのかなとか。答えられる範囲で教えていただければと。

(教)この活動からの報酬はまだないです。2015年5月まで会社勤めしていたのですが、情けないことに体力的に会社と活動を両立できなくなって倒れたりしまして。悩んだ末に会社を退職しました。アパートの更新料を払えなくなって実家に戻り、現在は親元で世話になっております。両親への有難さと申し訳なさを感じつつ、早く収益モデルを作らなくてはとメンバーと共に悪戦苦闘中です。

(今)そうでしたか……。収益モデルについては、どんなことをお考えですか?

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(教)収益源については、 年会員、助成金、ビジネスモデルの三つを確立させたいなと思っています。年会員制度については、恥ずかしながら寄付をくださいというのが苦手で、今まであまり積極的に発信してこなかったこともあって、会員数はまだ30名弱です。継続的に応援していただけること、とてもありがたく思っています。ちなみにですが、月々300円からのご支援で会員になっていただけます。

(今)積極的に発信しだしている(笑)。ビジネスモデルというのは?

(教)いろいろ考えてはいるのですが、現在実際に進めているものは二つです。一つは「映画配達人」を、日本人や欧米の観光客の方に体験していただくツアーです。ゴールデンウィークにH.I.Sさんと日本からのスタディツアーを実施します。それとは別に、現地のツアー会社さんと組んだ現地でのオプショナルツアー化もフライパンが進めている最中です。

もう一つは、「先進国の人が映画を観たら、収益の一部が寄付となり途上国の子どもに映画が届く」というモデルを作るために活動中です。TABLE FOR TWO(テーブルフォーツー)の映画版というとわかりやすいでしょうか。本当は全国の映画のチケットに寄付をつけられると良いのですが、まだまだ弱小団体なので……。現在は映画に関するイベントを開催して、その参加費をカンボジアに送っています。

(今)映画に関するイベントというのは、具体的には?

(教)公開中の映画を観に行って、その後の懇親会で恋愛映画だったら恋愛についてなど、その日観た映画をテーマに語る小人数の会や、バレンタインにお勧めの映画をプレゼンし合う、映画版のビブリオバトル。管理栄養士の藤橋ひとみさんを講師に迎えて『パディントン』に出てくるスイーツを作って食べる会。『スター・ウォーズ』の第一人者と言われる河原一久さんと、映画パーソナリティの伊藤さとりさんによるトークショーなど。

と、偉そうに言いましたが、全て私ではなく優秀な大学生たちが企画、運営してくれています。私は当日遊びに行くだけのような感じなのですが……。カンボジアに興味があったわけではなく、映画のイベントをきっかけにうちの団体のことを知ってくださった方が、その後応援してくださるようになるのは嬉しいなと思います。……宣伝しても良いですか?

(今)はい。

(教)今は都内だけで映画イベントを開催していますが、今後、全国各地に広げていきたいと考えています。お住まいの場所で中心になって映画のイベントを開いてくださる方を募集しています。

また、4月末に調布で開催される「木村知貴映画祭」様が、「映画を観て、途上国の子どもたちに映画を届けよう!」と、参加費のうち10パーセントを寄付してくださることになりました。このような形で、上映会や映画のイベントを開かれる方で、参加費の一部を寄付としてくださったり、会場でWorld Theater Projectのチラシや募金箱を置いても良いよという方は、ご連絡いただけたらうれしいです。

(今)リンク貼っておきますね(笑)

(教)ありがとうございます(笑)また、ある企業様からご縁とサポートをいただいて、4月20日に埼玉県桶川市の市民ホールで吉永小百合さんと二宮和也さんが出演されている『母と暮せば』の上映会を行うことになりました。その収益の一部もカンボジアに送られます。こちらも「映画を観て、途上国の子どもたちに映画を届けよう!」の一貫ですね。

埼玉県は「人口10万人あたりの映画館の施設数」が0.51施設しかなく、日本最下位なのです。ちなみに1位は福岡で、3.63施設です。最近は桶川市で地道に映画のチラシを配ったりポスティングしたりしているのですが、「映画って言っても、このへんには映画館なんてないもの」と言う年配の女性がいらして、「市民ホールでやるんですよ」と言うと喜んでいただけるのを見て嬉しくなりました。また、小学生の男の子がチラシを欲しがってくれて、「この映画観たい!あっ、この日俺の誕生日だ!」というのを聞いたときも頑張ろうと思えました。

(今)「映画館じゃない場所を映画館に変える」という、カンボジアでやってらしたのと同じことを日本でもやることになったのですね。

(教)そうですね。カンボジアで映画を上映をしていると言うと、「テレビやインターネットが普及したら必要なくなるね」と言われることもあるのですが、日本のように、ほとんどの家庭にテレビやインターネットがある時代でも、大きなスクリーンで映画を観るというニーズは消えていないのだなと思います。「映画で夢の選択肢を増やす」というのを第一のミッションに掲げていますが、「みんなで映画を観ること」には、他にも大切なことがあるような気がしています。まだうまく言語化できないのですが。映画人口を増やしながら、先進国と途上国を映画でつなげていくことが、いずれ大きな収益モデルとなっていけばいいなと思っています。

(今)そういえば、活動について書かれた『ゆめの はいたつにん』という本がセンジュ出版さんから発売されたそうですね。宣伝したいことがあればぜひ。

(教)映画一本観られる価格の本なので、読んで損したと思われる本にはしたくありませんでした。ただの団体のアピール本にもしたくありませんでした。読んでくださった方にとって「読んで良かった」と思っていただける内容になるように、自分の汚い部分もさらけ出して書き上げました。集中して書き続けると、目が痛くて開けられなくなって、「目がー!目がー!」となることを知りました(笑)。「カンボジアに映画館をつくりたい」と思った時の、本当の原動力が何だったのか、ほとんど話すことはありませんでしたが、それについても書いてみました。恐らく誰もが持っているものです。

(今)気になるので買います(笑)。では最後に、なぜ「映画」なんでしょう?12362164_1024717174256353_500485897_n

(教)まずは私自身の人生が映画なしでは考えられない人生だったということがあります。ただ、活動を始めてからずっと、ワクチンや食料のように、生きる上で絶対に必要なわけではないものを届けることに意味はあるのかと悩んできました。そんな時、ある方から、「食料やワクチンは生きるための手段。本や映画は生きる目的を与えてくれる」と教えていただいたんです。救われたような思いでした。

それから、別の方にこんな言葉をいただきました。「途上国を変えるのは実は映画なんです。途上国の虐げられている少女が、もしも戦う少女の映画を観たら、自分たちも戦っていいのだと気付くでしょう。映画には、人間のマインドセットを変える力があるんです」と。

また、ある時メンバーが、「国際協力はチーム戦なんです」と言っていました。「立ち向かうのは私たちだけではない。貧困、紛争の解決に取り組む団体、武装解除、国際開発、難民問題に臨む団体、その他にたくさんの団体がいる。他の団体の力によってその国が発展した時に、子どもたちには夢を持っていて欲しいし、子ども達が夢を持つことで、その国、そしてその他の団体が活性化し、発展につながって欲しい。それが私の参加している理由です」と。まだ自分たちの活動を国際協力と呼んでいいのかわかっていませんが、それは置いておいて。

この活動について、いろいろなご意見をいただいてきました。悩んできましたし、悩まなくなったら終わりだと思っています。でも活動を続けてきて、最近は段々と自信をもって「だから映画なんです」と言えるようになってきた気がします。

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教来石さんと出版された『ゆめのはいたつにん』と一緒に。

アジアマガジン編集部よりコメント

カンボジアを中心にNPOを運営され、1万人の子供達に映画を届けた教来石さんのインタビュー、いかがでしたでしょうか?初めは「海外行きの航空券を買う」という一歩から、たくさんの試行錯誤を乗り越えて、いまに至っていることがお伝えできれば嬉しいです。この度、取材にご協力頂いた教来石さん、ロングインタビューにお答えいただき、ありがとうございました!

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